中村元 - ダンマパダの解説

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●参考としてダンマパダの一部を記します。

1 ものごとは心にもとづき、心を主とし、

心によってつくり出される。もしも汚れた心で

話したり行ったりするならば、苦しみはその人につき従う。

──車をひく(牛)の足跡に車輪がついて行くように。

 

2 ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。

もしも清らかな心で話したり行ったりするならば、福楽はその人につき従う。

──影がそのからだから離れないように。

 

3 「かれは、われを罵った。かれは、われを害した。

かれは、われにうち勝った。かれは、われから強奪した。」と

いう思いをいだく人には、怨みはついに息(ヤ)むことがない。

 

5 実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以てしたならば、

ついに怨みの息むことがない。怨みをすててこそ息む。

これは永遠の真理である。

 

6 「われらは、ここにあって死ぬはずのものである」と覚悟をしよう。

──このことわりを他の人々は知っていない。しかし、このことわりを

知る人々があれば、争いはしずまる。

 

7 この世のものを淨らかだと思いなして暮し、感官を抑制せず、

食事の節度を知らず、怠けて勤めない者は、悪魔にうちひしがれる。

──弱い樹木が風に倒されるように。

 

8 この世のものを不淨であると思いなして暮し、感官を抑制し、

食事の節度を知り、信念あり、勤めはげむ者は、悪魔にうちひしがれない。

──岩山が風にゆるがないように。

 

12 まことであるものを、まことであると知り、まことでないものを、

まことでないと見なす人は、正しい思いにしたがって、ついに真実に達する。

 

13 屋根を粗雑に葺いてある家には雨が洩れ入るように、

心を修養していないならば、情欲が心に侵入する。

 

17 悪いことをなす者は、この世で悔いに悩み、来世でも悔いに悩み、

ふたつのところで悔いに悩む。「わたくしは悪いことをしました」と

いって悔いに悩み、苦悩のところにおもむいてさらに悩む。

 

21 つとめ励むのは不死の境地である。怠りなまけるのは死の境涯である。

つとめ励む人々は死ぬことが無い。怠りなまける人々は、死者のごとくである。

 

23 (道に)思いをこらし、堪え忍ぶことつよく、つねに健く奮励する、

思慮ある人々は、安らぎに達する。これは無上の幸せである。

 

29 怠りなまけている人々のなかで、ひとりつとめはげみ、

眠っている人々のなかで、ひとりよく目醒めている思慮ある人は、

疾くはしる馬が、足のろの馬を抜いてかけるようなものである。

 

33 心は、動揺し、ざわめき、護り難く、制し難い。

英知ある人はこれを直くする。──弓師が矢の弦を直くするように。

 

35 心は、捉え難く、軽々とざわめき、欲するままにおもむく。

その心をおさめることは善いことである。心をおさめたならば、安楽をもたらす。

 

36 心は、極めて見難く、極めて微妙であり、欲するがままにおもむく。

英知ある人は心を守れかし。心を守ったならば、安楽をもたらす。

 

42 憎む人が憎む人にたいし、怨む人が怨む人にたいして、どのような

ことをしようとも、邪なことをめざしている心はそれよりもひどいことをする。

 

50 他人の過失を見るなかれ。他人のしたこととしなかったことを見るな。

ただ自分のしたこととしなかったこととだけを見よ。

 

51 うるわしく、あでやかに咲く花でも、香りの無いものがあるように、

善く説かれたことばでも、それを実行しない人には実りがない。

 

54 花の香りは風に逆らっては進んで行かない。栴檀もタガラの花も

ジャスミンもみなそうである。しかし徳のある人々の香りは、風に

逆らっても進んで行く。徳のある人はすべての方向に薫る。

 

60 眠れない人には夜は長く、疲れた人には一里の道は遠い。

正しい真理を知らない愚かな者どもには、生死の道のりは長い。

 

62 「わたしには子がある。わたしには財がある」と思って愚かな者は悩む。

しかしすでに自己が自分のものではない。

ましてどうして子が自分のものであろうか。

どうして財が自分のものであろうか。

@Kaoru GreenEmerald

 

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